古代ローマ帝国を題材にしたおすすめの映像化作品(映画・ドラマ)5選

ローマ帝国を題材にした映像化作品5選ローマ帝国

はじめに

紀元前700年ごろにイタリア半島に誕生した都市国家であるローマは、地中海にまたがる領域国家へと発展していきました。その間に当初の王政から共和政へ政治体制を民主的なものへ変革させましたが、紀元前27年に共和政から帝政へと移行し、広大な領土を皇帝が統治するようになりました。

「古代ローマ帝国」というと厳密には共和政のローマ(ローマ共和国)から帝政に変わった紀元前27年から古代ローマ帝国が東西に分裂した395年の間にローマを首都とした帝国のことを指しますが、この時代範囲では古代ローマの1番の英雄と言われるユリウス・カエサルを描いた映像化作品を扱えないため、本記事では古代ローマ帝国の前身の共和政のローマの時代を扱った映像化作品も含めることとします。

約2,000年前に存在した古代ローマ帝国ですが、コロッセオ・凱旋門・水道橋など現在もヨーロッパ各地に残る優れた建築物や、その広大な領土の統治を可能にした強力な軍隊と高度な統治手法など、その魅力は色褪せないまま現代に生きる我々を魅了し続けています。

古代ローマ帝国を研究した優れた研究書やローマ帝国を題材にした小説などの本は多く存在しますが、古代ローマ帝国の様子を(あくまで再現を試みたものですが)映像で楽しむことができる作品(映画・ドラマ)を紹介します!

ローマ帝国を題材にしたおすすめの映像化作品

ROME[ローマ](HBO/BBC)

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アメリカのHBOとイギリスのBBCが共同制作したドラマである『ROME[ローマ]』は、総制作費が200億円以上で制作期間は約8年という大作です。

ストーリーは、ローマ軍第13軍団の百人隊長であるヴォレヌスとその部下である軍団兵プッロを中心にローマ共和国末期の様子が描かれています。

古代ローマの英雄であるユリウス・カエサルはもちろん、カエサルのライバルであるポンペイウスやローマ帝国の初代皇帝であるオクタヴィアヌス、カエサルを暗殺したブルートゥス、カエサルの死後にオクタヴィアヌスと対立したアントニウス、カエサルとアントニウスの愛人であったエジプト女王クレオパトラ、古代ローマの政治家・哲学者として有名なキケロなど古代ローマ史の有名人がたくさん出てきます。日本で例えると、偉人がたくさん出てきた幕末のような時代でしょうか。

ドラマのストーリー自体はフィクションであるものの、イメージ通りの古代ローマ像が忠実に再現されており、見どころのある作品となっています。

写真はイメージです

グラディエーター

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2000年に公開された『グラディエーター』は主演がラッセル・クロウであり、第73回アカデミー賞および第58回ゴールデングローブ賞を獲得した作品です。

ストーリーは、ローマ軍将軍であるマクシムス・デシムス・メリディアスが皇帝アウレリウスと皇太子コモドゥスの諍いに巻き込まれて家族を失い、自分も奴隷になってしまうところからスタートします。コモドゥスへの復讐を誓ったマクシムスは剣闘士(グラディエーター)として名を上げていきます。

映画の舞台は帝政ローマ中期です。映画に出てくるコモドゥスはパクス・ロマーナとして知られるローマ帝国の黄金期の終わりに出てきたローマ皇帝として知られています。史実ではコモドゥスは毒殺されそうになりましたが回避し、結局は剣闘士に殺されたこととなっています。

映画冒頭のマクシムスのゲルマニア(今のドイツ辺り)での蛮族との戦闘シーンは迫力があります。また、ローマ文化の花形である「剣闘士」の闘技場での戦闘と観ている民衆の様子も興味深いです。

写真はイメージです

ベン・ハー

ベン・ハー (字幕版)
「ベン・ハー」は、ルー・ウォーレスによるベストセラー小説の真髄に立ち返り、信仰の本質を描く。親友であったはずの義兄弟の裏切りにより無実の罪を着せられ、奴隷に身を落として何年も苦役に服した後に復讐を果たそうとする男の物語。互いに報復し合うのか、許し合うのか、彼らの選択は…。

2016年に公開された『ベン・ハー』はルー・ウォーレスの1880年のベストセラー小説「ベン・ハー」を原作にしていて、1959年のアカデミー賞獲得映画などに続いて、5度目の映画化となっています。映画賞は獲得しておらず、この映画作品自体の評価は低いものとなっています。

ストーリーは、ローマ帝国支配時代のユダヤ人貴族ベン・ハーの数奇な半生にイエス・キリストの生涯を交差させて描くものとなっています。ベン・ハーはエルサレムで幼馴染でローマ軍司令官のメッサラにより暗殺未遂の罪に問われてしまいます。数年間ローマの奴隷として過ごしたベン・ハーはイエス・キリストとの出会いの後、戦車競争でメッサラに勝利することで復讐を果たそうとします。

ローマ帝国支配下のエルサレムを舞台にしており、ユダヤ人目線で支配者であるローマ帝国を描いている点が他のローマ帝国を描いた作品と異なっています。この作品ではローマ皇帝は出てきませんが治世としてはローマ帝国の第2代皇帝ティベリウスの頃だと考えられます。ローマ帝国支配下のユダヤにいたイエス・キリストと後にイエス・キリストの死刑を宣告することになるローマのユダヤ地方総督であるピラトが作品には登場します。

ローマ帝国軍が支配者として軍歌を歌いながらエルサレムに入っていくシーンは、実際にどんな軍歌を歌っていたか分かりませんが、ローマ帝国軍の行進の様子について想像力をかき立てる、とても印象深いものとなっています。また、この作品の最も有名なシーンである戦車競争はやはり迫力があります!

写真はイメージです

テルマエ・ロマエ

2012年に公開された『テルマエ・ロマエ』は主演が阿部寛であり、ヤマザキマリによる漫画を原作としています。本作は大ヒットを記録し、2014年には2作目として『テルマエ・ロマエⅡ」が公開されました。また、2022年にはNetflixにて『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』がアニメ作品として配信開始されています。

ストーリーは、古代ローマの浴場設計技師ルシウス・モデストゥスがローマの公衆浴場から21世紀の日本の銭湯に突然タイムスリップしてしまうところから始まります。その後、ルシウスは古代ローマと現代日本の浴場を何度も往復し、その都度日本の浴場の数々の設備や工夫を目の当たりにし、それを古代ローマに持ち帰って古代ローマの浴場に活かすというものです。

登場人物にローマ皇帝であるハドリアヌスがいて、舞台がローマ帝政期の五賢帝時代であることが分かります。ハドリアヌスが男色趣味があることや、ナイル川で溺死した愛人であるアンティノーの逸話に触れられていたり、教科書で学ぶ歴史だけではなく皇帝の人柄を史実をもとに描いています。

ローマ帝国を題材にした映像化作品は迫力ある戦闘シーンが登場し、またローマ史上の英雄的人物に焦点が置かれることが多いですが、本作では風呂という日本人に馴染み深い文化からローマの市民社会を描いており、楽しく映画を観ることができます。

第九軍団のワシ

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2011年に公開された『第九軍団のワシ』は、ローズマリー・サトクリフによる1954年の小説「第九軍団のワシ」を原作にしています。

ストーリーは、紀元140年にブリテン島に駐屯するローマ帝国の百人隊長であるマーカス・フラヴィウス・アクイラが、父親が率いており消息を絶った第九軍団の象徴である「ワシの黄金像」を探すというものです。マーカスは戦闘で怪我を負い名誉除隊となってしまいますが、諦めずにハドリアヌスの長城を越えて北に向かい、先住民の襲撃を避けつつ「ワシの黄金像」を発見することに成功します。

紀元140年は五賢帝の1人であるアントニヌス・ピウスの時代です。アントニヌス・ピウスの前の皇帝はハドリアヌスであり、本作でも出てくるハドリアヌスの長城を建築するなど、ローマ帝国の防衛体制の確立に努めました。この時代には現在のイギリスであるブリテン島もローマ帝国の領土に入っていたことを考えると、ローマ帝国の広大さが分かりますね。

ローマ帝国の兵士とブリテン島の蛮族の争いという構図の中で、マーカスがブリテン島の北部を旅するという冒険色が強い作品となっています。

写真はイメージです

さいごに

おすすめした映像化作品を観ることで、ローマ帝国と聞いたら思い浮かぶ剣闘士試合やテルマエ、赤いマントに強そうな盾のローマ軍を感じることができると思います。

古代ローマ帝国を題材にした映画作品には他にも『スパルタカス』『アレクサンドリア』や『ポンペイ』などがありますので、興味のある方は是非観てください!

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