はじめに
AWS SAA(Solutions Architect Associate/ソリューションアーキテクトアソシエイト) に2021年3月に合格しました。
AWS初心者・インフラ未経験として受験しましたが、2020年7月の1回目受験時は不合格で、2回目の受験で合格しました。
これから受験する方に向けて、効率的に対策するためのおすすめの勉強方法を解説します。AWS資格は1回あたりの受験料が安くはないため、1回で合格できるように対策しましょう!(自分への戒め)
おすすめの勉強方法をまとめると・・・ ①Udemyの講座でハンズオンに取り組み、模試を繰り返す ②(Black Beltでサービスについて理解を深める) ③(参考書を活用する)
AWS SAAとは
AWS SAAの位置付け
AWS SAA(Solutions Architect Associate/ソリューションアーキテクトアソシエイト) はAWS認定資格の一つです。レベルとしてはアソシエイトに位置付けられ、「1年間のAWSクラウドを使用した問題解決と解決策の実施における経験」が目安とされます。もちろん1年間のAWSを使った実務経験が必要というわけではなく、実務経験がなくても試験対策をすれば取得することは可能です。
AWS SAAを取得すると、AWSが提唱する理想的なシステム構成である「ベストプラクティス」に沿ったシステムを構築できると認定されます。
他のAWS認定資格と比較しても、AWS SAAは専門知識に偏ることはなく、一通りAWS上でのシステム構成を理解していて、簡単すぎず難しすぎない資格であり、AWS認定資格の中で最もメジャーであり、かつ実用的な資格となっています。
下記にAWS認定資格の一覧を載せています。AWS SAA資格をいきなり目指すのはハードルが高いと感じる方は、基礎コースであるAWS Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)から受験することをおすすめします。
近年、オンプレミスからクラウドへの移行のトレンド(クラウドトランスフォーメーション)があり、AWS SAAはIT資格の中でも注目度の高い試験となっています。
AWS SAAを保有しておけば、クラウド上でのシステム構築についての知見をアピールすることができ、スキルの幅を広げることができるでしょう。
試験の構成
AWS SAAの試験構成は以下のようになっています。(2022年2月現在)
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
試験時間 | 130分 | しっかり対策していれば試験時間が足りなくなることはありません。 |
問題数 | 65問 | ー |
合格基準 | 720点/1,000点 | ー |
受験料 | 15,000円 | 試験バウチャーを持っていれば安くなります。 |
受験場所 | テストセンターまたは自宅・職場 | テストセンターをおすすめします。 |
試験形式 | 選択式(多肢選択式・複数回答式) | ー |
正確な試験名称は「AWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA-C02) 試験」です。このSAA-C02とは2020年3月にSAA試験のバージョンが更新されたことによります。(それまでの試験はSAA-C01となります。
以下のリンクより試験を予約することができます。(AWSアカウントを持っていない方は作成してください。)
受験場所については、自宅・職場で受験することも可能ですがカメラオンにして試験官と英語で確認をしながら進めなければならないというハードルがあるので、テストセンターをおすすめします。(ただし、テストセンターが遠方の方は自宅の方が良いかと思います。)
試験の範囲
AWS SAAの試験の範囲は4つの分野があります。それぞれの分野ごとに出題ボリュームも決まっています。(2022年2月時点の情報を記載、試験範囲と出題ボリュームは変更される可能性があるため最新の情報を確認してください。)
・第1分野:弾力性に優れたアーキテクチャの設計(30%)
・1.1 多層アーキテクチャソリューションを設計する
・1.2 高可用性アーキテクチャおよびフォールトトレラントアーキテクチャを設計する
・1.3 AWSのサービスを使用したデカップリングメカニズムを設計する
・1.4 耐障害性の高い適切なストレージを選択する
・第2分野:高性能アーキテクチャの設計(28%)
・2.1 ワークロードに適した伸縮自在でスケーラブルなコンピューティングソリューションを特定する
・2.2 ワークロードに適したハイパフォーマンスでスケーラブルなストレージソリューションを選ぶ
・2.3 ワークロードに適したハイパフォーマンスネットワークソリューションを選ぶ
・2.4 ワークロードに適したハイパフォーマンスデータベースソリューションを選ぶ
・第3分野:セキュアなアプリケーションとアーキテクチャの設計(24%)
・3.1 AWS のリソースへのセキュアなアクセスを設計する
・3.2 セキュアなアプリケーション階層を設計する
・3.3 適切なデータセキュリティオプションを選択する
・第4分野:コストを最適化したアーキテクチャの設計(18%)
・4.1 コスト効率の高いストレージソリューションを特定する
・4.2 費用対効果の高いコンピューティングサービスとデータベースサービスを特定する
・4.3 コストを最適化したネットワークアーキテクチャを設計する
おすすめの勉強方法
AWS SAAはAWS認定資格の中で最もメジャーな資格ですが、難易度が低いというわけではありません。特にAWS初心者・インフラ未経験の方はしっかり試験対策をしなければ合格は難しいでしょう。以下で私のおすすめの勉強方法を紹介します。
おすすめの勉強方法まとめ ①Udemyの講座でハンズオンに取り組み、模試を繰り返す ②(Black Beltでサービスについて理解を深める) ③(参考書を活用する)
②と③が括弧書きなのは①の対策だけでも十分合格可能だと考えるからです。②と③は試験対策に余裕があり、AWSのサービスについてより詳しく知りたい、練習問題をもっと解き試験対策を完璧にしたい方が実践してください。
Udemyの講座でハンズオンに取り組み、模試を繰り返す
Udemyの「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」を受講することをおすすめします。
この動画講座の凄いところはハンズオンと模擬テスト3回分が付いていて、この教材を終わらせたら試験対策が完了することです。
動画時間だけで45時間程度あるため、計画的に受講して動画は3週間程度、模擬試験は2週間程度で終わらせるようにしましょう。
ハンズオンについては実際にAWSサービスを利用するのですが、ハンズオン終了後もAWSサービスを利用状態に残しておくと料金がかかってしまいます。私は半年ぐらい海外リージョンのサービスを消去するのを忘れていて、結構な金額を払っていました。。。気をつけてください。
この講座の模擬試験の難易度は本番よりも高い印象で、模擬試験で点数を取れていなくても落ち込むことはありません。模擬試験で間違えた問題は何回も繰り返して解けるようにしておきましょう。
Udemyの講座は定期的にセールをしていてかなりお得に買えるようになっているため、セール中に講座を買うようにしましょう。
(Black Beltでサービスについて理解を深める)
①の「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」を受講するだけでも試験対策は可能ですが、ハンズオン学習でもあまり理解できなかったAWSサービスを理解するためには AWS Black Belt を利用しましょう。
AWS Black Belt はAmazonが提供するオンラインセミナーです。各種サービスやソリューションのカテゴリで分類されており、AWSサービスの基本から応用までを学ぶことができます。
(参考書を活用する)
①の「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」を受講するだけでも試験対策は可能ですが、参考書を利用してしっかり対策したい場合もあると思います。AWS SAA試験対策用の参考書はAWS SAA資格が人気なこともあり、種類がとても多いです。書店で実際に自分で手に取ってみて分かりやすい参考書を選ぶことをおすすめします。
以下では私のおすすめする参考書を紹介します。
『AWS認定資格試験テキスト AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト』は人気があるAWS SAA対策の参考書です。(オレンジ本と呼ばれています。)
さらっとAWSサービスの全体像を学ぶことができます。これ一冊で合格できるとは言えませんが、分かりやすくAWSの各サービスについて書いてあるため、資格対策の入りとしては良いでしょう。
『徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト教科書』も人気があるAWS SAA対策の参考書です。(黒本と呼ばれています。)
AWSのサービスについて図解入りで解説されており、AWSのサービス構成のイメージがつきやすくなっています。ただし、この本についても一冊で合格できるとは言えません。例題や模擬試験がついていますが、問題が本番よりも難易度が低く、あまり参考にならないと思います。
その他の勉強方法
WEB問題集で練習問題をたくさん解く
「AWS WEB問題集で学習しよう」を利用すると、600問以上の問題を解くことができます。月額料金を支払う必要がありますが、他のAWS資格の問題も解くことができるためAWS SAAに合格した後も活用できるメリットがあります。
試験を受ける前にとにかく多くの練習問題を解いておきたい方におすすめです。
インフラについての解説も含んだUdemyのハンズオン講座を利用する
先ほど紹介したUdemyの講座とは異なる講座ですが、「AWS:ゼロから実践するAmazon Web Services。手を動かしながらインフラの基礎を習得」を受講すると、インフラの基礎を学びながらAWSの各種サービスについて理解を深めることができます。
インフラ未経験者でいきなりAWSを含むクラウドサービスを学ぶのはハードルが高いという方におすすめです。
参考:私の合格体験談
参考として私の合格体験談を書きます。
受験の背景
ITコンサルとして働く中で、システム構築のインフラ検討の際にオンプレミスからクラウドへの移行を考慮する案件が増えてきていることを感じていました。オンプレミスとクラウドを比較観点だったり、クラウドを実際に採用することになった時の構成だったりを知識として身につけ、システムインフラ関連の案件に携わることがあっても対応できるようにしたいと思い、インフラ・クラウドについて勉強することにしました。インフラ未経験でしたが、当時クラウドの中でも最大シェアを持っているAWSの資格で一番メジャーなAWS SAA取得を目指すことにしました。
1回目(不合格)
インフラ未経験だったため、インフラとAWSのサービスについて効率良く学べる教材を探して、Udemyの「手を動かしながら2週間で学ぶ AWS 基本から応用まで」という講座を受講しました。(現在はUdemyで購入できなくなっています。)この講座はハンズオンで実際にAWSサービスを操作しながら学んでいく形式で、インフラの基礎とAWSサービスの基礎についてある程度学ぶことができました。
ただし、このUdemyの講座ではAWS SAA用の練習問題はついていなかったため、おすすめの勉強方法で紹介した『徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト教科書』(黒本)で練習問題を解いて、試験に臨むことにしました。黒本の練習問題は繰り返し解いて完璧にしていましたが、試験結果は不合格でした。。。(2020年7月に受験)
黒本の練習問題は試験本番よりも簡単で、試験本番はAWSサービスについて予想よりも細かい知識が求められました。試験後には、試験範囲の4分野のうち改善が必要な分野を教えてもらえるのですが、4つ中3つの分野の改善が必要とされてしまいました。
2回目(合格)
1回目の不合格後、仕事が忙しくてすぐに2回目の準備・受験をすることができませんでしたが、2021年3月に2回目を受験することにしました。
1回目の試験から半年近くあいてしまい、試験勉強の内容を色々と忘れてしまっていましたが、1回目に合格点に届かなかったのは、練習問題を解く量が足りなかったからだと思い、おすすめの勉強方法で紹介したUdemyの「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」で対策しました。この講座の模擬試験は難しかったですが、おかげで鍛えられたと思います。
そして、2回目は無事合格することができました!
AWS SAA試験を1回受けて不合格だった方は、せっかく試験対策した内容を忘れないためになるべく早めに2回目の試験を受けることをおすすめします。
AWS認定試験は合格しても有効期限は3年間となっているため、資格を保有し続けるためには3年後に試験を受ける必要があります。この点についてもご注意ください。
さいごに
AWS SAA試験は、AWSを利用したシステム構築のベストプラクティスを学ぶにはとても良い資格です。また、IT資格の中でも比較的人気の高い資格であることから、社内や転職時に自身のスキルとしてアピールすることができます。
この記事の内容が参考になり、多くの方がAWS SAAに合格してくださったら幸いです。