Microsoft認定資格とは?
Microsoft認定資格(MCP:Microsoft Certifications Program)とは、Microsoft製品に対する知識や技術を持つ個人を認定する世界共通のプログラムです。
製品別や役割(ロール)別、難易度(レベル)別など様々な種類の認定資格を取得することができます。認定資格を取得するためには所定の試験(複数の場合もあり)に合格する必要があります。
本記事ではMicrosoft認定資格のうち、Azure(Microsoftのクラウドサービス)認定資格について体系・難易度を解説します。
まずは、Microsoft認定資格の全体像を見てみましょう!
いかがでしょうか?とても資格の数が多くて充実していますが、分かりにくいですね。。。
Microsoft認定資格はとても数が多く、自分もAzureの資格を取りたいと思ったときに、どれを受ければ良いのか分かりにくくて戸惑いました。
製品別にMicrosoft認定資格を比較する
本記事ではAzure認定資格を扱いますが、Microsoft認定資格は製品別に「Azure」の他にも「Microsoft 365」「Dynamics 365」「Power Platform」があります。
それぞれの製品について簡単に紹介します。
Azure
Microsoft AzureはMicrosoft社の提供するクラウドサービスです。世界中の企業が利用しています。
Azureでは、サーバーやネットワーク等のITインフラをクラウド上で提供しています。また、ITインフラだけではなく、IoTや機械学習(AI)、データ分析、ブロックチェーンなどの様々な開発業務をクラウドで行うためのプラットフォームを提供しています。
Azureは日本国内でAmazon社の提供するAWS(Amazon Web Service)と並んでシェアの大きいクラウドサービスです。オンプレミスからクラウドへの移行(クラウドトランスフォーメーション)が進む現状では、Azureに関する知識はビジネスパーソンにとって重要なものと言えるでしょう。
Microsoft 365
Microsoft 365はMicrosoft社の提供する常に最新の状態のOfficeアプリのサービスを受けるサブスクリプションサービスです。
Word、Excel、PowerPointなどのOffice製品に加えて、メールサービスのOutlookやグループウェアのTeamsを月額料金を支払って利用することができます。
Microsoft 365のサービスは少し前まではOffice 365と呼ばれて親しまれてきましたが、2020年4月に名称変更されました。名称変更によって何が一番変わったかというと、販売形式が買い切り型の永続ライセンスから月額料金のサブスクリプションに変わったことです。
Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365はMicrosoft社の提供するビジネスアプリケーション群の総称です。
営業、マーケティング、顧客サービス、財務、サプライチェーン、流通/小売、人事といった様々な領域をカバーします。
Dynamics 365では、こういった領域での企業活動を効率的に進めるための必要な業務システムを統合的に提供しています。
Dynamics 365は同じMicrosoft社の製品であるMicrosoft 365との連携も容易であることから、Microsoft 365を導入している企業にとって業務アプリケーションを導入する際の有力な選択肢となるでしょう。
Power Platform
Microsoft Power PlatformはMicrosoft社が提供する、業務アプリケーションを構築・運用するためのプラットフォームです。PowerApps、Microsoft Power Automate、Power BIで構成されます。
Power Platformを利用することで、企業はデータの収集から解析・予測までをローコーディング(プログラミングをほとんどしないで)実現できます。また、新しい業務アプリケーションの構築を容易に行い、企業のデータをリアルタイムに可視化しデータ主導のビジネスを加速することができます。
Power Platformは最近のシステム構築のトレンドであるノーコード、ローコードに適合したプラットフォームであると言えます。
Microsoft Azure認定資格の体系と難易度
役割(ロール)別に分ける場合の種類
役割(ロール)の種類は9つあります。
役割(ロール) | 説明 |
---|---|
開発者 | クラウド ソリューションの設計、構築、テスト、保守を行います。 |
管理者 | Microsoft のソリューションを実行、監視、保守を行います。 |
ソリューション アーキテクト | コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、セキュリティに関する専門知識を持っている必要があります。 |
データ エンジニア | すべてのデータ サービスを使用してデータの管理、監視、セキュリティ、プライバシーを設計および実装します。 |
データ サイエンティスト | 機械学習技術を適用して、ビジネス問題を解決するモデルをトレーニング、評価、およびデプロイします。 |
AI エンジニア | Cognitive Services、機械学習、およびナレッジ マイニングを使用して、Microsoft AI ソリューションの設計と実装を行います。 |
DevOps エンジニア | エンドユーザーのニーズおよびビジネスの目的を満たす価値のある製品およびサービスを継続的に供給するために、人とプロセスとテクノロジーを結合させます。 |
セキュリティ エンジニア | セキュリティ制御と脅威からの保護を実装し、ID とアクセスを管理し、データ、アプリケーション、ネットワークを保護します。 |
機能コンサルタント | Microsoft Dynamics 365 と Microsoft Power Platform を活用して、顧客のニーズを予測および計画します。 |
※Azure認定資格には機能コンサルタントが対象の資格は含まれていません。
難易度(レベル)別に分ける場合の種類
難易度(レベル)の種類は4つあります。本記事では4つある難易度(レベル)を初級・中級・上級に分類します。
難易度(レベル) | 分類 |
---|---|
Fundamentals | 初級 |
Associate | 中級 |
Expert | 上級 |
Specialty | 上級 |
Azure認定資格の体系と難易度
役割(ロール)・難易度(レベル)からAzure認定資格の体系と難易度を表にまとめました。
自身の職務が役割(ロール)の何に当てはまるか確認してから、どの試験を受けるべきか確認してみてください。資格名が長いため、表には試験名のみ書いています。
Azure認定資格は20種類もあります。(2022年2月時点)
試験名 | 難易度(レベル) | 分類 | 役割(ロール) |
---|---|---|---|
AZ-900 | Fundamentals | 初級★☆☆ | ※1 |
AZ-104 | Associate | 中級★★☆ | 管理者 DevOps エンジニア |
AZ-204 | Associate | 中級★★☆ | 開発者 DevOps エンジニア |
AZ-500 | Associate | 中級★★☆ | セキュリティ エンジニア |
AZ-600 | Associate | 中級★★☆ | ー |
AZ-700 | Associate | 中級★★☆ | ー |
AZ-800/801 | Associate | 中級★★☆ | ー |
AZ-305 | Expert | 上級★★★ | ソリューション アーキテクト |
AZ-400 | Expert | 上級★★★ | DevOps エンジニア |
AI-900 | Fundamentals | 初級★☆☆ | ※1 |
AI-102 | Associate | 中級★★☆ | AI エンジニア |
DP-900 | Fundamentals | 初級★☆☆ | ※1 |
DP-203 | Associate | 中級★★☆ | データ エンジニア |
DP-300 | Associate | 中級★★☆ | ー |
DP-100 | Associate | 中級★★☆ | データ サイエンティスト |
DA-100 | Associate | 中級★★☆ | ー |
AZ-120 | Specialty | 上級★★★ | ー |
AZ-140 | Specialty | 上級★★★ | ー |
AZ-220 | Specialty | 上級★★★ | ー |
DP-420 | Specialty | 上級★★★ | ー |
Microsoftの分類している9つの役割(ロール)に当てはまらない試験も結構ありました。
各試験で取得できる資格の概要については「Microsoft Azure認定資格の各資格の概要」をご覧ください。
Microsoft Azure認定資格の各資格の概要
Azure認定資格の各試験の概要を見ていきましょう。試験に合格すると、試験名の横に記載してある資格を取得することができます。
AZ-900:Azure Fundamentals
分類:初級★☆☆
役割(ロール):Azure初心者全般
この試験では、クラウド サービスの基礎知識と、それらのサービスが Microsoft Azure でどのように提供されるかについての知識が必要とされています。
AZ-900については、おすすめの勉強方法をまとめてますので、ぜひ確認してください。
AZ-104:Azure Administrator Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):管理者、DevOps エンジニア
この試験では、組織の Microsoft Azure 環境の実装、管理、監視に関する専門知識が必要とされています。また、目安としてAzure の管理に関する少なくとも6か月の実務経験が必要とされています。
AZ-204:Azure Developer Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):開発者、DevOps エンジニア
この試験では、Microsoft Azure でのクラウド アプリケーションとサービスの設計、構築、テスト、保守に関する専門知識が必要とされています。また、1〜2年の専門的な開発経験とMicrosoft Azureの経験が必要とされています。
AZ-500:Azure Security Engineer Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):セキュリティ エンジニア
この試験では、エンドツーエンドのインフラストラクチャの一部であるクラウドおよびハイブリッド環境で ID、アクセス、データ、アプリケーション、ネットワークを保護する Azure セキュリティ制御の実装に関する専門知識を持っていることが必要とされています。
AZ-600:Azure Stack Hub Operator Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):ー
この試験では、Azure Stack Hub を使用して独自のデータセンター内からエンド ユーザーまたは顧客にクラウド サービスを提供する Azure 管理者または Azure Stack Hub オペレーターとしての経験が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、Azure Stack Hubとは、オンプレミス環境でアプリを実行し、データセンターでAzureサービスを実現するためのAzureの拡張機能であるため、管理者の役割と言えるでしょう。
AZ-700:Azure Network Engineer Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):ー
この試験では、ハイブリッド ネットワーク、接続、ルーティング、セキュリティ、Azure サービスへのプライベート アクセスなどの分野にわたり、Azure ネットワーク ソリューションの計画、実装、保守に関する専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、資格名の通りネットワークエンジニアの役割と言えるでしょう。
AZ-800/801:Windows Server Hybrid Administrator Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):ー
この試験では、Windows Server のオンプレミス、ハイブリッド、サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS) プラットフォーム ワークロードの構成と管理に関する特定分野の専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、資格名の通りWindows Serverを専門に扱う役割と言えるでしょう。
資格を取得するには、AZ-800とAZ-801の両方に合格する必要があります。
AZ-305:Azure Solutions Architect Expert
分類:上級★★★
役割(ロール):ソリューション アーキテクト
この試験では、コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、監視、セキュリティなど、Microsoft Azure で実行されるクラウドおよびハイブリッド ソリューションの設計に関する専門知識が必要とされています。
試験を受験するためには、Azure Administrator Associateの資格を取得している必要があります。
AZ-400:DevOps Engineer Expert
分類:上級★★★
役割(ロール):DevOps エンジニア
この試験では、ビジネス価値を継続的に提供するために、人、プロセス、テクノロジと連携する主題の専門知識が必要とされています。
試験を受験するためには、Azure Administrator AssociateもしくはAzure Developer Associateの資格を取得している必要があります。
AI-900:Azure AI Fundamentals
分類:初級★☆☆
役割(ロール):Azure(AI系)初心者全般
この試験では、機械学習 (ML) および人工知能 (AI) の概念と関連する Microsoft Azure サービスの基礎知識が必要とされています。
AI-900については、おすすめの勉強方法をまとめてますので、ぜひ確認してください。
AI-102:Azure AI Engineer Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):AI エンジニア
この試験では、Azure Cognitive Services と Azure Applied AI Services を活用する AI ソリューションを、構築、管理、デプロイできる知識が必要とされています。
DP-900:Azure Data Fundamentals
分類:初級★☆☆
役割(ロール):Azure(データ系)初心者全般
この試験では、コア データの概念と、Microsoft Azure データ サービスを使用してそれらを実装する方法についての基礎知識が必要とされています。
DP-900については、おすすめの勉強方法をまとめてますので、ぜひ確認してください。
DP-203:Azure Data Engineer Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):データ エンジニア
この試験では、さまざまな構造化および非構造化のデータ システムのデータを、分析ソリューションの構築に適した構造に統合、変換する分野の専門知識が必要とされています。
DP-300:Azure Database Administrator Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):ー
この試験では、Microsoft SQL Server および Microsoft Azure Data Services で構築されたクラウドネイティブおよびハイブリッド データ プラットフォーム ソリューションの運用面を実装して管理する専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、データベース管理者の役割と言えるでしょう。
DP-100:Azure Data Scientist Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):データ サイエンティスト
この試験では、データ サイエンスと機械学習を適用して Azure で機械学習ワークロードを実装して実行するための、対象分野の専門知識が必要とされています。
DA-100:Power BI Data Analyst Associate
分類:中級★★☆
役割(ロール):ー
この試験では、Microsoft Power BIを使用して拡張性の高いデータ モデルの設計と構築、データのクリーンアップと変換、および理解しやすいデータ可視化によって意味のあるビジネス価値を提供する高度な分析機能を実現する専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、資格名の通りデータアナリストの役割と言えるでしょう。
AZ-120:Azure for SAP Workloads Specialty
分類:上級★★★
役割(ロール):ー
この試験では、Microsoft Azure での SAP ソリューションの初期移行や統合および長期的な運用に固有の SAP システム ランドスケープと業界標準に関する幅広い経験と知識を持つアーキテクトまたはエンジニアの知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、SAPを専門領域とした管理者またはソリューションアーキテクトの役割と言えるでしょう。
AZ-140:Azure Virtual Desktop Specialty
分類:上級★★★
役割(ロール):ー
この試験では、Azure でのあらゆるデバイスに対応した仮想デスクトップ エクスペリエンスとリモート アプリの計画、配信、管理に関する専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、Azure Virtual Desktopの管理者の役割と言えるでしょう。
AZ-220:Azure IoT Developer Specialty
分類:上級★★★
役割(ロール):ー
この試験では、IoT ソリューションのクラウドとエッジの部分を構築および維持するために必要な構成およびコーディング タスクを実装する分野の専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、資格名の通りIoT開発者の役割と言えるでしょう。
DP-420:Azure Cosmos DB Developer Specialty
分類:上級★★★
役割(ロール):ー
この試験では、データを格納し、管理するクラウドネイティブ アプリケーションを設計、実装、および監視するための専門知識が必要とされています。
この試験の役割(ロール)は9つの役割の分類に入っていませんが、資格名の通りAzure Cosmons DBの開発者の役割と言えるでしょう。
試験の受験方法
試験の受験については、受験場所をテストセンターか自宅・職場かを選択した後に、予約サイトに表示されている日程の中から自分の好きな日程を選んで受験することになります。
以下のリンクより試験を予約することができます。(Microsoftアカウントを持っていない方は作成してください。)
Azure認定資格を取得することによって、社内外にAzureのスキルを証明することができ、評価を上げることができるでしょう。
この記事を通じて自分の受験するべきAzure認定資格を特定し、スキルアップに繋げて下さったら幸いです。