はじめに
作家村上春樹さんの作品の中で映像化された作品を紹介します。
独特の世界観から映像化が難しいと思われる村上春樹さんの作品ですが、どのような作品が映像化されているのでしょうか。
2022年に第94回アカデミー賞国際長編映画賞を「ドライブ・マイ・カー」が受賞したのをきっかけに、村上春樹さんの作品の中で映像化された作品とその原作をまとめてみました。
私がお勧めする映像化作品は以下の3作品です。是非原作を読んだ後に観てみてください。
【村上春樹のおすすめの映像化作品】 ・「ノルウェイの森」 ・「バーニング 劇場版」 ・「ドライブ・マイ・カー」
村上春樹の映像化作品
風の歌を聴け(1981年)
出演:小林薫、真行寺君枝、巻上公一、室井滋、他
監督:大森一樹
原作は映画と同名の『風の歌を聴け』(1979年)。村上春樹さんのデビュー作で群像新人賞受賞作品。海辺の街で過ごす青春の退屈な夏の日常を独特なタッチで描いています。文庫本で150ページ程度と短めなのですぐに読めて、読んだ後は爽やかな後味が残ります。
100%の女の子(1983年)/パン屋襲撃(1982年)
出演:室井滋、他
監督:山川直人
2作品ともに短編映画。「パン屋襲撃」の原作は『夢で会いましょう』(講談社文庫)に「パン」として収められています。「100%の女の子」の原作は『カンガルー日和』(講談社文庫)に「4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて」として収められています。
森の向う側(1988年)
出演:きたやまおさむ、一色彩子、他
監督:野村恵一
原作は『中国行きのスロウ・ボード』(中公文庫)に「土の中の彼女の小さな犬」として収められています。映画の方はVHS(いわゆるビデオカセット)しか出回っていないようなので、観ることは難しいかもしれません。
トニー滝谷(2004年)
出演:イッセー尾形、宮沢りえ、他
監督:市川準
原作は『レキシントンの幽霊』(文春文庫)に映画と同名の「トニー滝谷」として収められています。
神の子どもたちはみな踊る(2008年)
出演:ジェイソン・リュウ、ジョアン・チェン、ソニア・キンスキー、他
監督:ロバート・ログヴァル
原作は映画と同名の短編小説『神の子どもたちはみな踊る』。映画はアメリカで制作され、原作では日本が舞台で登場人物も日本人でしたが、映画では舞台はアメリカで登場人物はアメリカ人に変更されています。
四月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて(2008年)
出演:Takayuki Onosaka、他
監督:トム・フリント
短編映画です。原作は『カンガルー日和』(講談社文庫)に「4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて」として収められています。映画を観ることのできる媒体はAmazonでは見つけられませんでした。
ノルウェイの森(2010年)
出演:松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、他
監督:トラン・アン・ユン
原作は映画と同名の『ノルウェイの森』。村上春樹さんの代表作と言っても良いのではないでしょうか。
原作は好き嫌いが分かれると思いますが、映画についても原作ファンからの好き嫌いが分かれる作品になっています。
しかし、原作の陰鬱な雰囲気は映画にも引き継がれており、映像も綺麗で魅力的な映画となっていると個人的には思います。主人公のワタナベの特徴的な話し方も映画の中で可能な限り違和感のないように再現されていました。
パン屋再襲撃(2010年)
出演:キルスティン・ダンスト、ブライアン・ジェラティ、他
監督:カルロス・キュアロン
原作は映画と同名の短編小説『神の子どもたちはみな踊る』。映画はメキシコ・アメリカの合作の短編映画です。映画を観ることのできる媒体はAmazonでは見つけられませんでした。
ハナレイ・ベイ(2018年)
出演:吉田羊、佐野玲於、村上虹郎、他
監督:松永大司
原作は短編小説集『東京奇譚集』(新潮文庫)に「ハナレイ・ベイ」として収められています。舞台はハワイのカウアイ島のハナレイ湾という場所です。
バーニング 劇場版(2018年)
出演:ユ・アイン、スティーヴン・ユァン、チョン・ジョンソ、他
監督:イ・チャンドン
原作は短編小説集『螢・納屋を焼く・その他の短編』(新潮文庫)に「納屋を焼く」として収められています。映画は韓国で制作されており、原作とストーリーが大きく異なっています。第91回アカデミー賞外国語映画賞に出品され、最終選考9作品に残りました。
ドライブ・マイ・カー(2021年)
出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか、他
監督:濱口竜介
原作は短編小説集『女のいない男たち』(文春文庫)に「ドライブ・マイ・カー」として収められています。第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞しました。その他にも数多くの映画賞を受賞しています。撮影は主に広島県で行われています。
さいごに
独特の世界観から映像化が難しいと思われる村上春樹さんの作品ですが、意外と多くの作品が映像化されていました。
ただし、長編作品の映像化は「ノルウェイの森」だけで、他は短編作品の映像化となっています。やはり、長編作品では現実世界と非現実世界を行き来するという構造の作品が多いため、映像化は難しいのだと思います。
また、映像化された作品には海外で制作されたものもあり、村上春樹さんの作品が日本だけではなく世界中で読まれていることを裏付けています。
村上春樹さんの作品は長編しか読んでこなかったという人は是非短編も読んでみてください。